Yチェアなどのペーパーコード 椅子 張り替え 修理 クリーニング

paper cord

ペーパーコード/編みの種類

大きく分けて2通りの編み方があります。
デンマーク語では、「KUVERT-FLET」と「PLAN-FLET」になります。この呼び方が一般的かどうかは不明ですが、このように呼んでいる場合もあります。

*Y チェアの編み方 
  KUVERT-FLET (ENVELOPE-WEAVE )=(封筒編み) 
  洋封筒の裏側のパターンに編みます。

*J.L.Mollerの編み方 
  PLAN-FLET (LEVEL-WEAVE)=(平編み) 
  平らに編みます。



JL Mollerのような編み方は、日本では「かのこ」編みと呼ばれている場合があります。「かのこ」=「鹿の子」で、子鹿の斑点模様「鹿の子模様」から来ていると想像します。「鹿の子模様」は絞り染めによってできる伝統的な模様で、ニット編みでも凸凹をつくりだす編み方を鹿の子編みというようです。「鹿の子編み」という呼び方は、表面に凸凹ができる点では「鹿の子模様」との共通性はありますが、畳み表や籐張りの場合、「目積編み(めせきあみ)」と呼ばれます。
「網代編み」「ヘリンボーン」はV字形の連続模様です。スーパーレッジェーラの籐編みが、このパターンです。

ペーパーコードの編み方

Yチェアの編み方

Yチェアの編み方には、大きく分けて2種類の方法があります。
それは、ペーパーコードの通し方の違いです。Yチェアの場合、ペーパーコードは、表面・裏面・中の3層構造になります。また、Y チェアの座面を構成している部材は4本あります。フロントサポート/バックサポート/左右のサイドサポートの4本です。その4本の貫にコードを渡しながら編むのですが、3層の真中に入って隠れて見えなくなる部分のコードは同一平面上に並びます。すなわち、フロントサポートとバックサポートの上部面、左右のサイドバーの下部面、を延長した平面上に3層構造の真中に入るコードが並びます。
フレームを見ると部材が1本分ずれています。これは、ホゾの長さを十分にとる為の工夫でもありますが、ペーパーコードを編む為には適した構造になっています。前後左右の座面の枠が同一平面上になっている座面の場合、編み始めのペーパーコードの交点のラインが歪みやすくなります。


方法1:
フロントサポートの上部からバックバーの上部、サイドサポートの下部から反対側のサイドバーの下部へコードを通してゆく方法。


方法2:
フロントサポートの下部からバックサポートの上部、サイドサポートの下部から反対側のサイドサポートの上部へコードを通してゆく方法。



どちらが主流かといえば、2の方法です。1は10年以上前のYチェアによく見られましたが、現在は、ほぼ100%が2の方法です。1の利点は、比較的、仕上がりのラインを整えやすく、コードが自然と平面上に並ぶので、初心者でも編みやすい(?)かもしれません。ただ、前後/左右に渡したコードを引っ張ると簡単にずれてしまうという欠点があります。とは言え、しっかりとテンションを保って編みさえすれば、耐久性はどちらも変わりません。

また、小さな違いですが、編み始めの段階で、ペーパーコードを留めるクギ(現在はステープル)の本数を減らす為にサイドサポートに巻き付ける方法もあります。その場合でも1/2どちらの方法でも編むことができます。(上記写真)


他にも、単にサイドサポートに最初の1週目だけ巻き付ける場合もあります。これは、編む人の工夫によりそのようになっています。最初に1回多く巻くことで、自然と横に渡すコードをより多くするように意識が働くので、力の入れ方の癖をその人なりに考えた、きれいに隙間なく張る為の工夫のようです。
ただ、フレームの形状によっては、ペーパーコードの隙間ができない様にする為に、巻き付けることが必要になる場合もあります。

フロントバーに巻き付けない編み方

Y チェアを見ると、フロントサポートの左右にペーパーコードが巻き付けられていますが、それは、編み始める最初の段階で、バックサポートの幅にフロントサポートの幅を合わせる為に巻き付けられたものです。
その行程を、別の方法で置き換えると、仕上がりが従来の見慣れたYチェアとは、 また違った表情になります。Fritz Hansen社のチャーチチェア(クリントのデザイン 写真1)がそれです。
このチャーチチェアのフレームは、写真2の様にサイドサポートの形状もこの編み方がしやすいような形状になっています。(アームチェアの場合は、この座枠にアームの支えが付けられる為、ペーパーコードを差し込む溝があります。その為にも太さが必要です。)
写真1 写真2 

Yチェアのフレームは、そのような形状になっていませんので、最初に巻き付ける方が編みやすくなっています。とは言え、同じ様に張ることはできます。(写真3) 

写真3